2024.07.10

【2024年最新】法人向け自家消費太陽光発電の補助金事業を紹介

2020年10月、日本は2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言しました。脱炭素社会を実現するため、2030年の電源構成で再生可能エネルギーによる電力の目標を36〜38%に定めるなど、具体的な方策がまとめられています。

再生可能エネルギーの中でも、特に太陽光発電システムの普及を促進することが政府方針です。このため近年では、太陽光発電の導入を支援する様々な補助金事業が実施されています。

しかし、補助金事業は制度が複雑で、自社の導入計画が給付の要件を満たしているのかよく分からないといった意見もある状況です。

本記事では、2024年度に自家消費型太陽光発電の導入が支援される補助金制度について、詳しく紹介します。

広島県や首都圏など自治体による補助金も紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

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ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業

環境省による補助金のうち、自家消費型太陽光発電や蓄電池の導入が支援される事業です。自己所有のほか、PPAやリースモデルなど初期費用ゼロ円の太陽光発電システム導入が支援されます。再生可能エネルギーの主力化とレジリエンスの強化を進め、2050年カーボンニュートラルの実現に近づくことが補助金事業の目的です。

レジリエンスは、災害時に停電などの被害が起きないよう電力のインフラを整えることを指します。

補助対象設備と要件

  • 設備容量10kW以上の自家消費型太陽光発電
  • 蓄電容量17.76kWh以上の定置用蓄電池

要件

  • 太陽光発電設備のみ導入は対象外
  • 平時の自家消費率が50%以上あること
  • 自家消費型太陽光発電から電力会社側に電力が流出する「逆潮流」がない設備であること
  • FITやFIP制度による売電や自己託送しないこと
  • PPAまたはリースモデルの場合、補助金額の4/5以上が電気料金やリース料金の低減などで需要家に還元される契約内容であること
  • 太陽光発電の電力利用による環境価値が供給量に応じて需要家に帰属するものであること
  • PPAまたはリースモデルの場合、申請時に発電事業者と需要家が決定していること
  • 関係する法令や条例を遵守すること
  • 太陽光発電の法定耐用年数17年が経過するまでJ-クレジットに登録しないこと
  • CO2の排出量を削減できること
  • 設備の導入や維持に必要な資金を調達でき、かつ管理体制が整っていること
  • ほかの補助金と併用しないこと
  • 太陽光発電を導入するうえで許認可や権利関係の調整に問題が発生しないこと

補助金の申請者

日本国内で事業を営んでいる法人格または個人事業主が、補助金を申請できます。詳細は以下図表のとおりです。

出典:公募要領|一般財団法人 環境イノベーション情報機構 (EIC)

補助対象経費

  • 工事費
  • 設備費
  • 業務費
  • 事務費

補助金の交付額

対象設備ごとの補助金額を、一覧にまとめました。

対象設備 補助金額 補足事項
太陽光発電(自己所有) 4万円/kW 2,000万円まで
太陽光発電(PPA/リース) 5万円/kW
蓄電池 4万円/kWh 1,000万円まで

太陽光発電は自己所有とPPAまたはリースモデルで、補助金額が異なります。

公募期間

公募期間は2024年5月に終了しています。二次公募が実施されるかは2024年6月現在、未定です。一次公募で予算額の上限に達しなかった場合、二次公募の可能性があります。また、例年11〜12月に政府の補正予算案が閣議決定されるため、追加募集が始まることも考えられます。追加募集の有無は、環境省のホームページなどにお知らせが掲載されますので、定期的な動向のチェックが必要です。

広島県内の法人向け自家消費型太陽光発電の補助金5選

太陽光発電は、地方自治体による補助金もあります。以下では、広島県および同県内の自治体が実施する補助金事業を5つ紹介しますので、自社が利用できる制度探しの参考にしてください。

広島県|令和6年度広島県創エネ・省エネ設備導入促進補助金

広島県と中国電力グループによる組合が運営する、設備容量2,000kW以上の大規模な太陽光発電所の売電収入を活用した補助金です。地域住民が利用する施設の創エネ活用と省エネルギー化を図り、地球温暖化対策への取り組み推進を目的としています。

創エネは「創エネルギー」の略で、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用し、自ら電気を創る仕組みのこと。

補助対象者

以下の施設を運営する地方自治体および法人が補助の対象者です。

  • 幼稚園
  • 認定こども園
  • 保育所
  • 地域型保育事業所

※居宅訪問型と家庭的保育事業は除く

  • 認可外保育施設指導監督基準を満たした企業主導型保育施設

※定員の1/4程度を地域枠として開放している場合に限る

補助対象事業

補助対象者が運営する施設に、以下の設備を新設または増設する事業が対象です。

  • 省エネ基準100%以上達成の省エネ型エアコン
  • 木質バイオマスで発生した熱を活用する床暖房などの設備
  • 木質バイオマスボイラー
  • 自家消費型太陽光発電
  • エネルギー管理システム
  • 木質バイオマス等を利用した薪ストーブまたはペレットストーブ
  • 蓄電容量1kWh以上の蓄電池

国やほかの市区町村の補助金との併用はできません。また、設備導入後に地球温暖化対策がテーマの環境学習の実施が必要です。

補助対象経費

  • 設備費
  • 設置工事費
  • 運搬費

公募期間

2024年12月20日まで

補助金の交付額

補助対象経費の1/2以内。設備ごとの補助金上限額は、以下の図表のとおりです。

出典:広島県創エネ・省エネ設備導入促進補助金令和6年度募集要領|広島県

提出書類

  • 補助金交付申請書
  • 事業計画書
  • 添付書類(施設の概要、工事図面、太陽光発電の架台計画図面、工事見積書、設備の仕様書)

提出方法

持参または郵送

福山市|事業者向け創エネ・蓄エネ・省エネ設備導入等補助金交付事業

福山市内の事業者を対象とした、創エネ・蓄エネ・省エネ設備の導入等を支援する補助金事業です。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて再生可能エネルギーの導入を促進し、CO2排出量削減を目指すことを目的としています。

補助対象者

  • 福山市内で営む事業所に補助対象設備を設置する法人または個人事業主
  • PPAまたはリースモデルで福山市内にある事業所に補助対象設備を設置する事業者

※市税を滞納していないこと

補助の要件

福山市からの補助金の交付決定後に、以下の補助対象設備を設置することが要件です。

  • 太陽光発電

※FITまたはFIP制度を利用しないこと

※自家消費率50%以上であること

※敷地外に設備を導入する場合は自営線で供給すること

  • 蓄電池

※太陽光発電とセット利用すること

※蓄電容量17.76kWh未満の場合、設備費が15.5万円/kWh以下であること

※蓄電容量17.76kWh以上の場合、設備費が19万円/kWh以下であること

  • 省エネ設備(高効率空調機器、高機能換気設備、高効率照明機器、高効率給湯機器、コージェネレーションシステム)

公募期間

2024年6月3日~2025年2月28日

補助金額

各設備の補助金額は、以下の表のとおりです。

補助対象設備 補助金額 補足事項
太陽光発電 7.5万円/kW 50kWまで
蓄電池 設備費と工事費合計の1/3 50kWhまで
省エネ設備 設備費と工事費合計の1/2 60万円まで

提出書類

  • 補助金交付申請書
  • 事業計画書
  • 法人登記履歴事項全部証明書の写し

※個人事業主の場合は、開業届出書または直近年度の確定申告書の写し

  • 設備を設置する建物の登記事項証明書または納税通知書及び課税明細書の写し
  • 見積書および見積内訳書の写し
  • 設備の仕様書
  • 設備の機器配置図
  • 設備のシステム系統図
  • 支払相手方登録依頼書

提出方法

電子または郵送

呉市企業太陽光発電設備導入補助金

呉市内の事業所に太陽光発電を設置する費用を支援する、法人向けの補助金事業を紹介します。同市内の産業分野における脱炭素化を促進することが、本事業の目的です。

補助対象者

以下4つの要件を全て満たす法人が対象です。

  • 呉市内の事業所に対象設備を購入して設置する法人または、PPA/リースモデルの事業者
  • 市税を滞納していない法人
  • 暴力団員ではなく、関わりもない法人
  • 補助金の交付先として適正と呉市長が認める法人

補助対象設備・要件

設備容量10kW以上で新設する自家消費型太陽光発電

※CO2排出量を削減できること

※関連法令を遵守していること

※法定耐用年数の17年間は、J-クレジット制度に登録しないこと

※ほかの補助金と併用しないこと

公募期間

2024年5月10日~11月29日

補助金の交付額

7.5万円/kW

※1事業者あたり3,000万円まで

提出書類

  • 補助金交付申請書
  • 発電電力消費量計画書
  • 見積書・内訳書の写し
  • 設備の仕様書
  • 設備設置場所等の見取図・現況写真
  • 設置土地・建物の登記事項証明書の写し
  • 市税を滞納していない証明書の写し
  • 法人の全部事項証明書又は開業届出書の写し
  • 暴力団排除に関する誓約書

提出方法

持参または郵送

東広島市|令和6年度事業者用再エネ・省エネ設備導入補助金

東広島市の事業所への、再エネ・省エネ設備導入を支援する補助金です。再生可能エネルギーおよび省エネルギーの導入を支援することで地球環境の保全に貢献し、環境意識を高めることを目的としています。

補助対象者

以下に挙げる4つの要件をすべて満たす法人が補助の対象者となります。

  • 東広島市内の事業所に対象設備を設置する法人(中小企業、医療法人、社会福祉法人)
  • 市税を滞納していないこと
  • 過去に同じ補助金を利用していないこと
  • 国や県のほかの補助金と併用しないこと

補助の対象設備

  • 自家消費率50%以上の太陽光発電(設備容量10kW以上)
  • 蓄電池(蓄電容量17.76kWh以上)

※補助対象は太陽光発電との併用のみ

  • 高効率空調設備
  • 高効率照明設備

補助対象経費

  • 設置工事費
  • 設備費
  • 設置に必要な機器類、付帯工事や事務などの費用

公募期間

2024年6月3日~2025年1月31日

補助金の交付額

対象設備の補助金額は、以下の表のとおりです。

対象設備 補助金額 補足事項
太陽光発電 対象経費の1/3または5万円/kWのいずれか低い金額 100万円まで
蓄電池 対象経費の1/3または5万円/kWhのいずれか低い金額 100万円まで
高効率空調設備

高効率照明設備

対象経費の1/2または50万円のいずれか低い金額 50万円まで

提出書類

  • 補助金等交付申請書
  • 事業計画書
  • 収支計画書
  • 誓約書
  • 工事請負契約書、売買契約書の写し
  • 設備の仕様書
  • 設備を設置する場所の図面および現況写真
  • 市税を滞納していない証明書
  • 登記事項証明書

※個人事業主の場合は開業届の写し

  • 過去1年分の電気料金明細の写し

提出方法

持参または郵送

廿日市市|令和6年度事業所用創エネ・省エネ設備導入促進補助金

地球温暖化防止への貢献と環境保全意識の向上を目的として、廿日市市内の事業者が太陽光発電を導入する費用を支援する補助金です。

補助対象者

廿日市市内の事業所に対象設備を設置する法人(中小企業、医療法人、社会福祉法人)

※個人事業主を含む

補助の対象設備

  • 自家消費率50%以上の太陽光発電
  • 蓄電池

※補助対象は太陽光発電との併用のみ

  • 高効率空調機
  • 高機能換気設備
  • ​高効率照明機器
  • 効率給湯機器

公募期間

2024年6月7日~12月20日

補助金の交付額

1事業者あたりの補助金上限額は1,000万円で、以下表に記載の補助金額または上限額のうち、いずれか低い金額が給付されます。

対象設備 補助金額 補足事項
太陽光発電 10/10以内 5万円/kWまで
蓄電池 1/3以内 ・蓄電容量17.76kWh以上:6万円/kWhまで

・蓄電容量17.76kWh未満:5万円/kWhまで

高効率空調機

高機能換気設備

​高効率照明機器

効率給湯機器

1/2以内 1,000万円まで

提出書類

  • 交付申請時チェックシート
  • 補助金交付申請書
  • 事業計画書
  • ​収支予算書
  • ​導入計画書
  • ​誓約書兼同意書
  • 見積書の写し
  • ​設備の仕様書
  • 機器配置予定図面と現況写真
  • ​市税の滞納がないことを証明する書類
  • ​登記履歴事項証明書

※個人事業主の場合は開業届の写し

  • ​口座振替依頼書

提出方法

持参のみ

他地域の法人向け自家消費型太陽光発電の補助金3選

首都圏の自治体が2024年度に実施している、自家消費型太陽光発電の導入が支援される補助金の事例を3つ紹介します。どのような補助金制度があるか、順に見ていきましょう。

東京都|地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業

東京都内に自家消費型太陽光発電の太陽光発電や蓄電池などを設置する事業者に対して、導入にかかる費用の一部が助成される補助金です。

補助の対象設備

  • 自家消費型太陽光発電
  • 定置用蓄電池

補助金額

以下の表は、法人の区分ごとの補助金額の一覧です。

対象設備 中小企業

学校法人

公益財団法人

医療法人

社会福祉法人

個人事業主

独立行政法人

協同組合

太陽光発電 2/3以内 1/2以内
定置用蓄電池 3/4以内

※蓄電池単独設置の場合は900万円まで

2/3以内

※蓄電池単独設置の場合は800万円まで

太陽光発電と定置用蓄電池を同時に設置する場合の補助金額上限は、2億円となります、

公募期間

2024年4月24日~2025年7月31日

留意事項

  • FITまたはFIP制度の認定を受けないこと
  • 経済産業省の資源エネルギー庁が策定する「事業計画策定ガイドライン」を遵守すること
  • 太陽光発電による発電量が、自家消費する施設の年間消費電力量の範囲内であること
  • 東京都によるほかの補助金と併用しないこと

神奈川県横浜市|太陽光発電導入支援助成金

神奈川県横浜市内の中小企業を対象とした、太陽光発電と蓄電池の導入に利用できる補助金です。エネルギー価格高騰対策の支援のほか、脱炭素化を推進して2050年カーボンニュートラルの実現を目指すことを目的としています。

補助の対象設備

  • 設備容量10kW以上の自家消費型太陽光発電
  • 定置用蓄電池

※補助対象は太陽光発電との併用のみ

補助額

対象設備の組み合わせごとの、補助金額は以下表のようになります。

対象設備 補助金額 補足事項
太陽光発電・蓄電池 10万円/kW 500万円まで
太陽光発電のみ 8万円/kW 400万円まで

公募期間

2024年5月20日~11月29日

留意事項

  • FITまたはFIP制度を利用しないこと
  • 災害時に地域住民へ電力を提供すること
  • ほかの補助金と併用しないこと

埼玉県|令和6年度 企業等における省エネ・再エネ活用設備導入補助金

埼玉県内の脱炭素化を促進し、災害時における電力インフラの体制を強化することを目的としています。太陽光発電や蓄電池など、再生可能エネルギーによる発電設備の導入を支援する法人向けの補助金です。

補助の対象設備

  • 設備容量10kW以上の太陽光発電
  • 蓄電容量4kWh以上の蓄電池

※太陽光発電と蓄電池を同時に設置することが補助の要件

補助金額

設備ごとの補助金は、以下の表のとおりです。

対象設備 補助金額 補足事項
太陽光発電 5万円/kW 合計で1,500万円まで
蓄電池 補助対象経費の1/3

補助対象経費は、工事費および設備費、業務費が該当します。

公募期間

2024年6月開始予定

留意事項

まとめ|法人向け自家消費型太陽光発電は補助金でお得に導入できる

現在、2050年カーボンニュートラルに向けて再生可能エネルギーによる発電設備の導入が推進されています。

近年では電気料金の高騰やBCP対策、CSR活動などの観点から自家消費型太陽光発電の導入に注目する法人が増えている状況です。法人が自家消費型太陽光発電を自己所有する場合、規模が大きくなるため導入費用も高額な点が懸念されています。

しかし、国や地方自治体による補助金をうまく活用すれば、設備投資費を抑えて自家消費型太陽光発電を導入できるでしょう。国の補助金は5月末時点で一次公募がほぼ終了しているため、太陽光発電の導入には公募期間が長い自治体の補助金の活用がおすすめです。

補助金を活用した自家消費型太陽光発電の導入は、実績豊富なエコラボにご相談ください。

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