value

太陽光発電の価値

買取価格の推移だけを見ると、太陽光発電を導入する価値は少なくなっているのではないかと思われる方もいるのではないでしょうか。
しかしこれには、太陽光発電システムは世界的に低価格化になっており、太陽光発電設置のための初期費用が下がっていることが関係しています。買取価格とは、原則として「初期費用を回収できること」を想定して設定されます。つまり、買取価格が下がったことは初期費用が安くなったことを意味します。
また、それだけではなく、太陽光発電の価値は投資以外の目的で今注目を集めているのです。

01.経済効果

自家消費型太陽光発電を設置することで、太陽光発電で作った電気を会社や工場で消費できるようになるため、電気購入量が減り、電気料金を削減することができます。
また、工場や会社等で利用する電力量は大きいため、50kW 以上の高圧電力で契約するのが一般的です。高圧電力の電気代にはデマンド値※が大きく関係しており、デマンド値によって年間の基本料金が決まってきます。
そのため、購入量の多い昼間に太陽光発電で作った電気を自家消費することで、デマンド値が下がり、電気の基本料金を下げることができます。

デマンド値とは

電気使用量の計測時に記録された、30分ごとの平均電力量のことです。電気の基本料金は、当月と過去11 カ月で最も高い30分デマンド値が基準となるため、一度基本料金が上がってしまうと1年間は下がりません。

■自家消費型太陽光発電導入前の電気購入量イメージ

自家消費型太陽光発電導入前の電気購入量イメージ

■自家消費型太陽光発電導入後の電気購入量イメージ

自家消費型太陽光発電導入後の電気購入量イメージ

02.環境価値

「環境価値」とは、再生可能エネルギーが生み出した電気に付加されるプラスアルファの価値のことです。再生可能エネルギーによって発電された電気は「電気そのものの価値」の他に、省エネルギーやCO2排出抑制といった付加価値を持った電力といえます。
今、この環境価値は「証書」という形で具現化が可能で、売買の対象にもなっています。
その制度として「J-クレジット」「グリーン電力証書」「非化石証書」があります。

発電設備の分類
グリーン電力証書
J クレジット
J クレジット

発行者
グリーン電力証書発行事業者
国(経済産業省・環境省・農林水産省が共同で運営)
低炭素投資促進機構(国が指定した費用負担調整機関)

対象になる自然エネルギー
太陽光、風力、水力、地熱、バイオエネルギー
太陽光、風力、水力、地熱、バイオエネルギー
太陽光、風力、水力、地熱、バイオエネルギー(証書では種別は不明)

対象になる発電設備
日本品質保証機構から認証を受けた発電設備
J-クレジット制度認証委員会が承認した発電プロジェクト(1 つのプロジェクトで複数の発電設備が可能)
国から固定価格買取制度の認定を受けて運転中の発電設備

購入対象者
企業、自治体など
企業、自治体など
小売電気事業者に限定

購入方法
グリーン電力証書発
行事業者から購入
①J-クレジット制度事務局が実施する入札で購入
②J-クレジット保有者か仲介事業者から購入
非化石価値取引市場で入札して購入

出典:自然エネルギ−財団

これらの証書を所持していることで、再生可能エネルギーによる電気を利用しているとアピールできるため、企業のイメージアップと環境価値を活かした事業展開につなげることができます。また、証書を売買する場合は、収入が得られるメリットがあります。

※証書を売った場合は、環境価値も同時に手放すことになるため、再生可能エネルギーを利用しているというアピールはできなくなります。

また、J-クレジットとグリーン電力証書については、需要家が直接売買できますが、非化石証書については、小売電気事業者しか購入できません。

03.新たなニーズの増加

今、世界全体として、脱炭素社会に向けた取組みが推進されています。その一つとして「持続可能な開発目標(SDGs)」や「パリ協定」があります。日本もパリ協定において「2030 年度までに2013 年度に比べて温室効果ガスを26%削減する」ことを目標として掲げており、実現のために省エネ化と化石燃料消費の削減がポイントとなっています。

そのような世界の動きを受けて、日本の企業でも、再生可能エネルギー導入の動きが広がっており「RE100」に加盟する企業も増加しています。RE100 とは、企業の事業運営に使うエネルギーの100%を再生可能エネルギーのみで調達する試みであり、達成するためのプロセスとして、自家消費型太陽光発電の導入が注目されています。同時に、世界中の投資家たちの間でも「環境」「社会」「ガバナンス」に力を入れている企業を投資する「ESG 投資」という投資法が急速に広まっています。

その他にも、沖縄県の宮古島では、2050 年までにエネルギー自給率の約50%を太陽光発電と風力発電で賄うという目標を設定した「エコアイランド宮古島宣言2.0」を出しています。その他の地域でも同様に、地域内でつくった電気を地域内で消費する「電力の地産地消」を実現する新電力会社の動きもあり、太陽光発電は電力の地産地消のための電源として期待されているのです。

04.災害時のBCP 対策

2011 年の東日本大震災以降、企業の 災害対策の重要性が大きく注目されており「BCP 対策」という言葉をよく聞くようになりました。BCP とは「Business ContinuityPlanning」の略で「事業継続計画」を意味します。
自家消費型太陽光発電は、自立運転機能付きパワーコンディショナーと設置することで停電時でも電力を補えるとともに、蓄電池を設置することで発電した電力を蓄えておけるため、非常時の電源の確保ができ、BCP 対策として有効です。台風や地震といった自然災害が起きた場合、大規模停電が発生するケースがあります。一時的なものであれば被害は少ないですが、倒木や建物倒壊、送電・配電線の破断が起きた場合は、復旧に⻑期間要することも少なくありません。そのようなケースでは、コンピューターのデータ消失、工場の生産ラインの停止、セキュリティシステム等の設備の停止等が避けられません。損失も甚大なものとなるとともに企業への信用を失う恐れもあります。
BCP 対策を行っているということは、このようなケースを避けられる可能性を高めるとともに「BCP 対策を行っている企業」という信頼性を高めることができるのです。

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